カレー沢薫について

カレー沢薫が好きです。

昔からよくコラムを読んでいて言ってる内容は面白いけど、面白いことを言おう言おうとしていて空回っている人というイメージでした。また文章があまり上手ではないのでコラムの仕上がりは正直そこまで面白くはないと思っていました。マンガの方はあのほんわかした猫のキャラで毒と中和されますが、コラムだと中和がないためカレー沢氏があまり魅力的に感じません。コラムというのは内容も大事ですが、コラムニスト本人のキャラも大事なので損してるなあってコラムを読んでいつも思っていました。

そんな枠があるのか知りませんが、サブカル系女性コラムニスト枠に入るのでしょうか。最近だとジェーン・スーあたりと近く毒舌で面白いことを(少し下品なことも)センスよく言えるお姉さん枠なのでしょう。しかし、いわゆるこれ系の元祖とでも言えるナンシー関に比べてしまうと、舌鋒の鋭さ、言葉のセンス、程よく力の抜けた鋭い意見、文章力すべてレベルが段違いで負けています(ジェーン・スーも)。今ナンシー関の本を読み返しても全くそう思います。

ただもうナンシー関はいないし、いない人を焦がれているのも野暮ってもんでしょうから、それなりにカレー沢氏と(ジェーン・スー氏)のコラムも楽しんでいました。

しかしこの人はナンシー関にも真似できない天の才を持った作家でした。カレー沢氏はおキャット様など動物愛に沸る人ですが、動物に関するマンガについては素晴らしいと思います。

 

「きみにかわれるまえに」このマンガにどんだけ泣かされたか。何度飼い猫を思い出して涙が出たか。動物愛に溢れ、動物のことを真剣に考えた人からしか生まれてこない素晴らしい物語です。

 

批評はナンシー関、悩み相談はジェーン・スー、物語を作るのはカレー沢薫。批評家、ラジオパーソナリティノーベル賞を獲った方はいらっしゃいませんが、作家はノーベル文学賞を獲ることができます。カレー沢氏が獲れるとは思いませんが、やはり物語を作るというのは一握りの才能のある限られた人にしかできないという証だと思っています。

 

カレー沢氏はとにかく面白いことを言わなくてと(サービス精神が悪いほうに作用して)空回りしているコラムやエッセイマンガのようなものではなくストーリーのあるマンガの才能に溢れた作家です。